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概要
むすびの神を祀る旧寺島村新田の鎮守
東京都墨田区押上に鎮座する神社。
旧社格は村社で、旧寺島村新田の鎮守。
かつては「第六天社」と称し、明治の神仏分離によって「高木神社」と改称。
御祭神として高皇産霊神(たかみむすびのかみ)を祀っている事から、むすびの神として崇敬を集め、近年はそれにちなみ「おむすび」の神社として知られる。
また社号からTVアニメ化もされた漫画『からかい上手の高木さん』とのコラボを行っている事でも人気を博している。
神社情報
高木神社(たかぎじんじゃ)
御祭神:高皇産霊神
社格等:村社
例大祭:6月第1土・日曜(2019年は6月8日-9日)
所在地:東京都墨田区押上2-37-9
最寄駅:曳舟駅・京成曳舟駅
公式サイト:https://takagi-jinjya.com/
御由緒
応仁二年(1468年)、室町時代の創祀と伝えられており、旧寺島新田の鎮守として尊崇され、古くは「第六天社」と呼ばれていました。
明治時代初期の神仏分離の制度で『高木神社』と改めました。
その社名は、御祭神である高皇産靈神の別名が「高木の神」であるからといわれています。
かつては、境内に大きな臥龍の松があり、曳舟川を上下する舟をはじめ、地域の人々の往来の目印となっていました。
昭和四十二年一月、鉄筋コンクリート造りの社殿改築が成り、昭和四十三年十一月、鎮座五百年の式年大祭が行われました。
平成三十年六月、御鎮座五百五十年記念式年大祭が行われました。
令和五年に、御鎮座五五五年を迎えました。(頒布のリーフレットより)
歴史考察
室町時代に第六天社として創建
社伝によると、応仁二年(1468)に創建とされる。
古くは「第六天社」と称され崇敬を集めた。
かつての当地は寺島村の一画。
中でも新田(寺島新田)と呼ばれた地域の鎮守を担った。
武蔵国に多く鎮座した第六天魔王を祀る第六天社
「第六天社」と称された当社は、神仏習合の時代に第六天魔王を祀る神社として創建。
天魔とも称される魔。
第六天とは仏教における天のうち、欲界の六欲天の最高位にある他化自在天(たけじざいてん)を云う。
仏道修行を妨げている魔王と畏れられ、織田信長は第六天魔王を自称したと云う伝承でも知られる。
第六天魔王を祀る「第六天神社」は、関東圏…特に武蔵国に多く創建された神社。
悪疫退散の御神徳を念じて祀られる事が多く、当社もそうした信仰の中で創建されたのであろう。
江戸切絵図から見る当社
当社の鎮座地は江戸の切絵図からも見て取れる。
こちらは江戸後期の隅田川・向島周辺の切絵図。
下が北の切絵図となっており、当社は図の中央やや右に描かれている。
赤円で囲ったのが当社で、「第六天」と記されている。
隣には別当寺「正圓寺」も記されている。
図の左上に寺島村と見れるように、当時の寺島村は比較的広い範囲であった。
青円で囲ったところに「寺嶋新田」の文字を見る事ができる。
当社からやや離れた一画であるが、当社は寺島村の中の新田(寺島新田)の鎮守を担った。
当社と別当寺「正圓寺」の右隣には、現在の「飛木稲荷神社」(飛切稲荷大明神)があり、その右手に「請ジ本村」と記されているように、この一画が請地村の領地であった。
この事から当社と「飛木稲荷神社」の境が、両村の境だった事が分かる。
切絵図からも田地が広がる大変のどかな農村だった事が伝わる。
隅田川や曳舟側などその支流が多くあり、当社には「臥龍の松」と呼ばれる大きな松の木があったため、舟の往来の目印になっていたと云う。
新編武蔵風土記稿に記された当社
文政十三年(1830)に成立した『新編武蔵風土記稿』には当社についてこう記されている。
(寺島村)
第六天社
二。一は眞光寺持。一は正圓寺持。
寺島村の項目に「第六天社」として記されている。
村内には「第六天社」が二社鎮座していたようで、当時の第六天社の多さをこちらからも感じる事ができる。
「正圓寺」持ち神社が当社である。
明治の神仏分離で御祭神や社号を変更
明治になり神仏分離。
これを機に、御祭神を高皇産霊神へ変更し「高木神社」へ改称。
「第六天社」は、神仏習合の色合いが濃いため、関東に鎮座していた多くの「第六天社」は、御祭神や社号の変更を余儀なくされ、各社に合祀されるなど衰退の一途を辿る。
御祭神は、「大六天」の社号から、神世七代における第六代の面足命・惶根命に変更される事が多かったが、当社のように高皇産霊神へ変更するなど、各社の対応は分かれた。
当社の他に、かつて第六天社の総社ともされた「山倉大神」(千葉県香取市)は、当社と同様に御祭神を高皇産霊神としている。
当社の御祭神である高皇産霊神は、日本神話の天孫降臨などでは「高木神(たかぎのかみ)」と云う名で登場する神。
そのため当社は「高木神社」へ改称を行った。
明治三十五年(1902)、拝殿を造営。
その後、神楽殿や神輿庫、社務所などの境内整備も行われている。
明治四十二年(1909)測図の古地図を見ると当時の様子が伝わる。
(今昔マップ on the webより)
赤円で囲った箇所が当社の鎮座地で、今も昔も変わらない。
北側には新田という地名も残っており、一帯を当社が鎮守していた。
当社に隣接するように請地町の文字も見え、当社のあたりが古くは寺島村と請地村、両村の境界線であった。
昭和十五年(1940)、村社に列する。
昭和二十年(1945)、東京大空襲によって建物の殆どを焼失。
幸いにも社殿は無事であったと云う。
昭和四十二年(1967)、社殿の老朽化につき社殿を造営。
昭和四十三年(1968)、御鎮座五百年式年大祭が行われた。
平成二十九年(2017)、御社殿修理工事が竣工。
現在の紫塗装の社殿となる。
近年では、御祭神の高皇産霊神(たかみむすびのかみ)から「むすびの神」として、おむすびの神社として知られるようになっている。
境内案内
2つの鳥居・バリアフリー化された境内
最寄駅の曳舟駅から南へ徒歩数分、路地に入った住宅街の一画に鎮座。
鳥居は路地に沿って西向きに2基あり、北側にあるのが大鳥居。
鳥居を潜り社殿の向かいに手水舎。
龍の吐水口から水が出る形で綺麗に整備。
水盤は安政四年(1857)に奉納されたもので、龍の吐水口は平成になってから地域の氏子崇敬者より奉納された。
拝殿前まではスロープで整備されているのも特徴。
バリアフリー化され参拝者に優しい境内となっている。
戦後に再建・紫色に塗装された社殿
社殿は、昭和四十二年(1967)に造営されたもの。
旧社殿は東京大空襲の戦火を免れたものの、老朽化につき現在の権現造りの社殿が造営された。
当時は鉄筋コンクリート造で、朱色に塗装された社殿が特徴的であった。
御鎮座550年記念事業の一環として、平成二十九年(2017)に紫色に塗装を変更。
比較的珍しい紫色の社殿が新たな特徴となった。
社殿と東京スカイツリーを撮れる撮影スポット
社殿と東京スカイツリーの対比を楽しめ、神輿庫の前あたりが絶好の撮影スポット。
この場に立つと綺麗に撮れるように足跡が付けられている。
足跡に合わせて立つとご覧の姿。
現在の東京下町ならではの光景で美しい。
江戸時代の狛犬・富士講の碑など
拝殿前には一対の狛犬。
弘化二年(1845)に奉納されたもの。
凛々しい造形の狛犬で台座も立派。
境内の右手には富士講・山玉向島講社の碑。
地域の富士講(富士信仰)を伝えるもので、明治三十一年(1898)に建立され、現在は墨田区登録文化財となっている。
江戸時代に成立した民衆信仰で、オガミ(拝み)と富士登山(富士詣)を行う講社。
地域社会や村落共同体の代参講としての性格を持っており、特に江戸を中心とした関東で流行したため、各地に数多くの講社があり、江戸時代後期には「江戸八百八講、講中八万人」と云われる程であった。
山玉向島講社
当社周辺で隆盛した富士講で、大正期には100人以上の講員がいた富士講であったが、戦時中に活動は中止となった。
いたる所におむすび・おむすびの神社として人気
近年は「おむすび」の神社として崇敬を集めている。
これは御祭神の高皇産霊神(たかみむすびのかみ)によるもの。
別名「高木神(たかぎのかみ)」とされ、これが「高木神社」の由来。
天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)・神産巣日神(かみむすびのかみ)と共に「造化の三神」と呼ばれ、天地開闢の時に現れた神で、いずれも性別のない神・人間界から姿を隠している神とされている。
絵馬掛や絵馬もおむすび形になっているのが特徴。
お結びとして、縁を結び付けてくれるとして信仰を集める。
境内のいたる所におむすびの姿。
とてもかわいらしく境内を撮影していく参拝者も多い。
手狭な境内ながら境内の散策を楽める施策。
2023年参拝時に整備されていたむすび石エリア。
おおきなおむすび型の結び石。
『からかい上手の高木さん』とのコラボ
現在は社号からTVアニメ化もされた漫画『からかい上手の高木さん』とのコラボを開催。
社務所の前には『からかい上手の高木さん』コーナーも設置。
作品ファンには嬉しい一画。(2023年4月撮影)
2021年参拝時に置かれていた『からかい上手の高木さん』おみくじ。
こちらは消しゴムに小吉などがプリントされている。
2018年参拝時に置かれていたコラボおみくじ。
「からかい成就おみくじ」。
大凶を引いてしまったが「めったいに出ないよ。逆にすごいね!(高木)」。
近くには作品関係者による絵馬が掲示。
撮影はご自由にとのこと。
月替りや限定御朱印・むすび石も頂ける
御朱印にもおむすびの印が押され、月替りや限定御朱印も時期によって色々と用意。
左は2018年中に授与された「御鎮座550年記念御朱印」。
こちらは2020年7月に頂いた月替り御朱印。
毎月15日限定のおむすび御朱印。(朱印もおむすび型になっている)
2023年4月の月替り御朱印と、2023年中に授与の御鎮座555年記念御朱印。
2024年2月に頂いた御朱印。
御朱印を拝受した際には「むすび石」を頂ける。
小さく可愛らしい石で、当社の手作りとなっており、「様々なご縁がありますように」と御祈祷されたもの。
おむすびの御朱印帳・高木さんコラボ御朱印帳も
オリジナルの御朱印帳も用意。
おむすびがデザインされた可愛らしい御朱印帳。
筆者が頂いたのはベージュ色だが、現在は青色・赤色・黄色・茶色・ベージュ色・紫色・緑色の7色展開。
コラボ中の『からかい上手の高木さん』御朱印帳も用意。
この御朱印帳のみ、高木さんのスタンプが押された特別な御朱印を頂けるため、作品ファンにとっては嬉しい仕様。
所感
寺島村の新田地区鎮守として崇敬された当社。
かつては「第六天社」と称され、関東を中心に信仰を集めた、大六天信仰の一社であった。
明治の神仏分離によって、数多くの第六天社同様に、当社も御祭神の変更と改称を余儀なくされ、高皇産霊神をお祀りする「高木神社」となる。
その御祭神が現在は「むすびの神」として信仰され、おむすびの神社として知られるように。
境内には幾つか古い奉納物が残り、東京スカイツリーとの対比は現代の東京下町らしさを感じる事ができるだけでなく、境内のいたる所におむすびが置かれていたりと散策が楽しい境内。
近年ではおむすびの神社、御朱印、コラボなど色々努力されていて、そうした努力が伝わる心地よい良社である。
御朱印画像一覧・御朱印情報
御朱印
初穂料:300円(通常)・350円(あわせ)・555円(御鎮座555年記念)
社務所にて。
※月替りの御朱印、時期によって限定御朱印を用意している。
※御朱印を拝受した際に「むすび石」を一緒に頂ける。
11月22日-24日まで「新嘗祭御朱印」
11月15日は「月替りおむすび御朱印」
11月1日-5日まで「縁結びの日御朱印」
11月1日-30日まで「月替り御朱印」「月替りあわせ御朱印」
※月替り御朱印の直書きは指定日のみ。御朱印の最新情報や詳細は公式サイトにて。
御朱印帳
オリジナル御朱印帳
初穂料:1,500円
社務所にて。
オリジナルの御朱印帳を用意。
おむすびがデザインされた可愛らしい御朱印帳。
青色・赤色・黄色・茶色・ベージュ色・紫色・緑色の7色。
『からかい上手の高木さん』コラボ御朱印帳
初穂料:3,000円(特別御朱印代込)
社務所にて。
『からかい上手の高木さん』とのコラボ御朱印帳も用意。
高木さんのスタンプが押された特別御朱印含む。
高木さんの特別御朱印は御朱印帳を授与された方のみ。
※筆者はお受けしていないので情報のみ掲載。
授与品・頒布品
からかい消しゴムおみくじ
初穂料:100円
コラボコーナーにて。
『からかい上手の高木さん』コラボのおみくじ。
むすび石
初穂料:─
社務所にて。
※御朱印を拝受した際に授与して頂ける。
参拝情報
参拝日:2024/02/07(御朱印拝受)
参拝日:2023/04/20(御朱印拝受)
参拝日:2021/11/15(御朱印拝受)
参拝日:2020/08/31(御朱印拝受/ブログ内画像撮影)
参拝日:2018/10/12(御朱印拝受)
参拝日:2017/04/06(御朱印拝受)
コメント
こんばんは。
『からかい上手の高木さん』とコラボした御朱印帳のイラストは可愛いですね。斬新でおしゃれです。
■しゃんしゃん様
こうした作品とのコラボは色々頑張っている証拠だと思います。
小さな神社ですが、御朱印やコラボなどで参拝者が多い神社になっていますので、
そうした努力が実っているのだと思います。