御朱印とは?頂き方(もらい方)は?
御朱印についての疑問を初心者向けに分かりやすく紹介しています。
御朱印の頂き方(もらい方)、集め方、御朱印帳の購入方法、参拝方法などを説明。
初心者の方やこれから始めようと思っている方は是非ご一読下さい。
マナーを守って参拝し、御朱印の集印を楽しみましょう。
御朱印とは
「御朱印(ごしゅいん)」とは、神社や寺院において、参拝者に向けて押印される印章・印影の事です。
押印の他に、参拝した日付、寺社名・御祭神・御本尊の名前などを墨書きして下さるところが一般的です。
また、御朱印をもらう(本来は「拝受」や「頂く」と言いますがここでは分かりやすく「もらう」と書いています)ために使用する帳面を、「御朱印帳(ごしゅいんちょう)」と呼びます。
御朱印の起源は、寺社へ写経を納めた(納経)際の受付印であったとされています。
13世紀前半には行われていた、日本全国66国を巡礼し1国1箇所の霊場に法華経を1部ずつ納める「六十六部」と呼ばれる巡礼が起源と考えられています。
当初は寺社が発行する1枚の納経請取状を受け取る形で、古くは鎌倉時代の寛喜三年(1231)伊賀国黄滝寺(現・三重県名張市の黄滝山延寿院)の請取状が残っています。
現在の御朱印帳に近い納経帳形式が出現するのは、現時点で確認されているものとしては江戸時代の元禄十四年(1701)のものが最も古く、元禄年間(1688年-1704年)頃に御朱印の基礎ができあがったと推測できます。(参考資料:小嶋博巳著『六十六部日本廻国の研究』)
一部ではこの事から、寺院で始まり後に神社も開始したといった説明が散見していますが、それは確実に間違った説明ですのでご注意下さい。
江戸時代以前は神仏習合の時代ですので、今のように神社や寺院の境界線が明確には引かれていなかった時代です。
実際に、神社にも寺院にも別け隔てがなく納経する例が多く見られました。
神社に納経する事も普通にありましたので、寺院・神社どちらが起源という区別はないと考えたほうがよいでしょう。
そうした納経の証として拝受していたものですが、江戸時代後期には既に写経を納めるという行為は形骸化していたと言われています。
納経帳に参拝した証(場合によっては納経の証)を発行してもらう、こうした風習が現在の御朱印として残るようになりました。
また、寺社の印を「御朱印」と呼ぶようになったのは、昭和初期からだと思われます。
現在では、様々な意見があるでしょうが、個人的には御朱印は「参拝証」であると認識しています。
自ら参拝した証として御朱印をいただく。
あくまで参拝するという宗教行為が前提にあり、その証として拝受する事が寺社にも喜ばれる参拝方法だと思っています。
その行為に自分なりの意義を感じ楽しむ方が増える事を願っています。
御朱印のもらい方
御朱印帳を用意しましょう
御朱印を頂くには御朱印帳が必要です。
中には普通のノートなどに御朱印をもらおうとする方がいますが、それは失礼な行為と認識される事も多く、断られる事も多いでしょう。
現在、御朱印帳は様々なところで手に入れる事ができます。
一部の文具店やAmazonなどの通販で手に入れる事もできますし、寺社がオリジナルの御朱印帳を用意しており、そちらで授与して頂く事も可能です。
デザイン面やサイズ、紙質など、気に入ったものを探すのも楽しみの1つです。
個人的には寺社が用意しているオリジナルの御朱印帳を手に入れるのがオススメです。
昨今の御朱印ブームにより、多くの寺社がオリジナルで個性的な御朱印帳を用意するようになりました。(もちろん用意していない寺社も多いです)
御朱印を頂きたい寺社で、御朱印帳も合わせて頂くのがよいでしょう。
それが思い出にもなりますし、よい縁になることと思います。
用意している寺社では、社務所や授与所で購入する事ができます。
御朱印帳を用意している寺社については、ネットなどに情報が色々載っていますので、調べて探してみる事をオススメします。
御朱印帳の種類
一般的に、御朱印帳には2つの種類が用意されています。
蛇腹(じゃばら)と呼ばれるものと、和綴じ(わとじ)と呼ばれるタイプのものです。
蛇腹:アコーディオンのように折りたたみ式のもの。
和綴じ:普通の本のようなもの。
現在は蛇腹のものが人気で主流となっており、寺社で用意されている御朱印帳のほとんどは蛇腹になっています。
個人的にも蛇腹のものは開いて眺める事ができますし、墨書きをする方も書きやすいため、蛇腹のものをオススメします。
蛇腹のものは表面と裏面、どちらにも御朱印を頂く事ができます。
ただし墨書きが裏写りする事もあるため、片面のみ頂く方、両面頂く方がいらっしゃると思います。
どちらがよいという事はありませんので、好きにするのがよいでしょう。
筆者は基本的に片面のみ使用するようにしています。
御朱印帳の保管方法については以下をご覧下さい。
神社と寺院で御朱印を分けるべきか
また、神社と寺院で分けて用意したほうがいいのか、一緒に頂いてもいいのか、そういった事で悩まれる方も多いようです。
もともとは神仏習合でしたので、神社と寺院を1冊に混ぜて頂く事は問題ありませんし、ほとんどの寺社では問題なくお受けできるはずです。
ただ、稀に神社や寺院、さらには宗派の違いなどで、1冊に混ざっていると断る寺社も存在しています。
そのため、トラブルを防ぐために、神社と寺院は分けて使う方も多いようです。
もちろん一緒にしても大方は問題はありませんので、深く気にしなくて大丈夫ですが、そうしたトラブル防止のために分けておくのもよいでしょう。
参拝をしましょう
御朱印帳を用意する、もしくは御朱印帳を頂く寺社が決まりましたら、まずは参拝をしましょう。
上述したように、個人的には御朱印は「参拝証」だと認識しています。
そのため、参拝をする事は必須であり、参拝した証に頂くのが御朱印です。
寺社との縁、神仏との縁だと思い、頂いて下さい。
神社の参拝方法
神社の参拝方法を簡単に書いておきます。
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最初の鳥居を潜る前に一礼。
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参道はなるべく真ん中を歩かない。
参道に神様の通り道という意味はなく、人としてマナーの問題です。 -
手水舎(ちょうずや・てみずや)で身を清める。
右手で柄杓(ひしゃく)を持ち水を汲み、左手にかけて洗います。
柄杓を左手に持ち替えて、同様に右手を洗います。
再度、右手に柄杓を持ち替えて、左手を水受けにして口をすすぎます。(柄杓に口をつけない事)
左手を洗い、柄杓を立てるようにして、残った水で自分が触れた柄の部分に水をかけて清め、柄杓を元の場所に戻します。 -
拝殿前では賽銭を入れ、鈴がある場合は鈴を鳴らし、二礼二拍手一礼で参拝。
丁寧な参拝方法では、一揖二礼二拍手一礼一揖となっています。(揖とは軽いおじぎ)
これは一般的な参拝方法で、出雲大社系などは四拍手になったりします。
基本的にはこういった参拝の形となります。
神社には、境内社(けいだいしゃ)といって境内(けいだい)に別の神社をお祀りしている事も多いです。
そうした境内社にも参拝しておく事をオススメします。
また色々な見処がありますので、そういったところを見て回り、色々感じるのも神社巡りを深く楽しむための秘訣だと思います。
最低限、これらの事はマナーとして守り、参拝した上で神社巡りを楽しみましょう。
御朱印を頂きましょう
基本的に御朱印は参拝後に頂くようにして下さい。
(神社側から御朱印帳を預けてからお参りをなどの指示や掲示がない限り)
御朱印は、基本的に社務所や授与所と呼ばれる場所で頂く事ができます。
神職さんや巫女さんに「御朱印をお願いします」「御朱印を頂きたいのですが」といった旨の声をかけてみて下さい。
大きな神社では専用の御朱印授与所が用意されている場合や、取り間違いのないように番号札を渡される場合もありますので、指示に従いましょう。
逆に小さな神社の場合、インターホンを押して呼び出す事になる場合が多いです。
いずれにせよ、失礼のないようマナーを守ってお願いしましょう。
また、神社によっては書き手がいないと御朱印を頂く事ができない場合もあります。
その場合は書き置き(御朱印帳に直接書いて頂くのではなく、既に書いて置いてあり別紙で頂くこと)と呼ばれるものがある場合は、書き置きを頂くのもよいかと思います。
書き置きの御朱印は、そのまま御朱印帳に糊などで貼ってしまって大丈夫です。
タイミング的に御朱印を頂けない場合もあったりします。
その時は、御朱印を頂く縁はなかったものと思い、またの参拝の楽しみに取っておきましょう。
神職さんにも生活がございますので、配慮した上でご注意下さい。
たまに夜や深夜に御朱印目的でインターホンを鳴らす人もいるそうで、そういった事はくれぐれもおやめ下さい。
また他にも様々な業務があった上で、時間を割いて対応して下さる場合が多いです。
祭祀や御祈祷など他にも優先する業務がある場合もありますし、御朱印対応のみする訳にもいかないので、その点を理解した上でお願いするようにして下さい。
御朱印のお代
御朱印のお代は、基本的に300円or500円の場所が大半です。
神社では、御朱印や授与品のお代のことを初穂料と呼びます。
神様にお供えするお金のこと。
起源として、稲作文化であった日本では、古くから神様への感謝の気持ちとして、その年に初めて収穫された稲穂(初穂)をお供えしていました。
やがて農作物や魚類など初物をお供えするようにもなり、「初穂は神様にお供えするもの」と云う意味となったため、もともとの意味を尊重し、金銭を神社(神様)に納める事を「初穂料」と呼ぶようになっています。
金額を掲示してある場合や、提示された場合はそれに従うのがよいですが、こちらからいくら納めればよいか分かりかねる場合は「いかほどお納めすればよろしいでしょうか?」と聞くのがよいと思います。
最近は500円の神社も増えてきましたので、その辺は指示に従うようにしましょう。
場合によっては志納といって「お気持ちで」と言われる場合もあります。
志納の場合は1ページあたり300円納めればよいでしょう。
さらに「いりません」と言われる場合もありますので、その場合はお気持ちを賽銭箱に入れておくのがよいと思います。
御朱印を頂き初穂料を支払いましたら、お礼を言うようにして下さい。
お忙しい中、時間を割いて対応して下さる事も多いです。
また神職さんが対応して下さったことだけでなく、その神社の神様へのお礼の気持ちも込めて、有り難く頂戴するようにして下さい。
気を付けたい事・楽しむ秘訣
御朱印は一期一会の縁です
何度か書いている通り、御朱印は参拝した証だと思います。
その参拝における気持ちや状況など含めて、思い出にもなるものです。
御朱印を頂く事は、その神社との縁だと感じます。
御朱印を頂いた日や書き手によって、その御朱印の見た目も変わるものです。
自分だけの縁によって頂いた自分だけの御朱印、そして思い出です。
書き手や時期によっては、色々とネットなどにあるものとは違う事も出てくるでしょう。
また場合によっては墨書きがあまり上手じゃない場合もあるかもしれません。
書き置きや印判、中には印刷という場合もあるかもしれません。
しかし、そういった事は重要ではなく、参拝証として縁を頂いた事が重要ですので、それはそれで良いご縁だと思うのが、楽しむ秘訣だと思います。
むすび
当ブログでは御朱印をきっかけで参拝される方にも、その神社についての歴史・信仰・伝承・見処などを深く知って頂ければ嬉しいと思い、筆者も色々と勉強しながら神社についての情報を記載しています。
御朱印は「参拝はあまりした事ないけど、御朱印をもらってみたい」そういった神社参拝への導入にぴったりな要素ですし、普段は神社に参拝されなかった層が、御朱印の集印を始める事で、神社巡りを楽しむようになったりすると聞きます。
ですのでそこまで固くならずに気軽に参拝してみて下さい。
マナーを守りさえすれば、神社というのはとても気軽で地域と結びついた包容力のあるものです。
こうした御朱印ブームによって、多くの方々が参拝するようになったのは素晴らしい事だと感じますし、マナーと節度を守り参拝をし、神社巡りを楽しむ方が増えれば、きっと神社の関係者や氏子さん、神様も喜んで下さるはずです。
御朱印によっては限定の御朱印、カラフルだったりイラストが付いていたりと綺麗な御朱印、達筆な御朱印など色々あると思いますし、アートな面や限定コレクション感覚で楽しむ方もいるようです。
そうした部分は素晴らしい要素でもありますし、そういった側面がある事も否定はできませんが、そうした面だけを追ってしまうのはもったいない気もするのです。
せっかく参拝をされるのですから、御朱印だけを目的とせず、参拝をする事、そしてその神社や寺院を深く知り、寺社や神仏との縁を楽しむ事が、飽きずに一生続けれる趣味として楽しむ秘訣だと思います。
御朱印は意図して集めるものというよりも、参拝を繰り返したり寺社巡りをする事で、自然と集まっていくものだと感じています。
御朱印をきっかけにするのはよい事だと思いますし、御朱印が目的なのもよいとは思いますが、参拝はついでとなってしまうのは少し違うのかな、とは思います。
御朱印を見返した時、頂いた神社や寺院、その周辺の思い出、風景が目に浮かぶ。
そんな縁を結ぶ事ができたら素敵な事です。
少し余談になりますが鎌倉時代に制定された法令『御成敗式目』の中に好きな一文があります。
神は人の敬によりて威を増し
人は神の徳によりて運を添ふ
人から崇敬を受け神様や神社は輝き、それが巡って人に良い運が回ってくる。
神社に参拝する時、少し頭の隅に留めておくと良いのではないでしょうか。
御朱印がきっかけでもよいのです。
ただ、崇敬の念は忘れないで欲しいと思います。
まず日頃の感謝を伝え、参拝して下さい。
神社の多くはそうして地域の人々の崇敬によって長年維持されてきたのですから。
どの神社にも大切にしている人々の思いがありますので、それをないがしろにはしないで下さい。
御朱印だけでなく、色々とその神社や寺院について知って頂ければ、参拝の楽しみも増え、幅も広がると思いますので、神社については当ブログがそのお力に少しでもなれれば幸いです。