京濱伏見稲荷神社(京浜伏見稲荷神社) / 神奈川県川崎市

川崎市

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概要

戦後創建の伏見稲荷神社

神奈川県川崎市中原区新丸子東に鎮座する神社。
戦後に創建した比較的新しい歴史を持つ。
京都の稲荷信仰総本社「伏見稲荷大社」からの勧請。
「伏見稲荷大社」と同様に神社本庁には属していない単立神社。
正式には旧字体で「京濱伏見稲荷神社」であるが、当社も新字体の「京浜伏見稲荷神社」を使う事も多い。
108体もの神狐像など個性的な境内が特徴で、近年は外国人観光客からも隠れた人気スポットとなっている。

神社情報

京濱伏見稲荷神社/京浜伏見稲荷神社(けいひんふしみいなりじんじゃ)

御祭神:常磐稲荷大神
相殿神:五成大明神(宇加之御魂大神・大己貴命・猿田彦命・大宮能女神・保食之神)
社格等:─
例大祭:5月4日
所在地:神奈川県川崎市中原区新丸子東2-980
最寄駅:新丸子駅・武蔵小杉駅
公式サイト:─

御由緒

 御案内
当正一位京濱伏見稲荷神社の大神様は戦後、京都伏見稲荷大社より出世稲荷として御鎮座されました。
霊験灼かな神様として万人豊楽を示して、御参拝を重ねるごとに稲穂のように一粒万倍、お知恵や利益が授かると関東一円はもとより、日本全国から老若男女の方々が来社されています。
御社殿は日本最大級の九棟稲荷造りを誇り、また百八体の御眷属(狐の像)は大神様のお使いとして多様な姿を見せるめずらしい石像です。
 当神社の由来
当京濱伏見稲荷神社は戦後の昭和二十年から三十年頃、生活不安の中で地域の復興と活気と明るさを呼び起こすため、京都の伏見稲荷大社より東京と横浜の間に、江戸造り様式によりお祀りされました。
江戸造りは神社の土台に霊峰富士山の溶岩を積むことが大変縁起のよいこととされて、江戸時代に流行しました。
当神社では、その縁起にあやかって本殿の周囲を富士山の溶岩でかため廻り造りとなっています。(境内の掲示より)

歴史考察

戦後の復興を祈願して伏見稲荷大社より勧請

社伝によると、昭和二十六年(1951)に創建とある。

初代宮司・富澤冠受が神示を受けた事で、「伏見稲荷大社」(京都府京都市)より勧請。
出世稲荷として創建したと云う。

伏見稲荷大社(ふしみいなりたいしゃ)
京都府京都市伏見区に鎮座する神社。
式内社(名神大社)、二十二社(上七社)の一社、旧社格は官幣大社。
全国の稲荷神社の総本社として知られ、千本鳥居などが有名。
伏見稲荷大社
1300年にわたって、人々の信仰を集め続ける「お稲荷さん」の総本宮 伏見稲荷大社の公式ホームページ

東京と横浜の間である当地(新丸子-武蔵小杉)に建立。
混迷する戦後の地域の復興を祈願したとされる。

「伏見稲荷大社」は神社本庁に属さない単立神社の代表的神社。当社も神社本庁に属しておらず、総本社である「伏見稲荷大社」と同様に単立神社となっている。

個性的な境内整備が行われる

昭和二十九年(1954)、大鳥居を建立。
その後も境内整備が進む。

社殿は江戸造り様式と称する個性的な仕様で造営。
昭和三十年(1955)、108体の神狐像など境内が整備された。

神社本庁に属していないという事、そして戦後に創建されたという事。こういった事情があるからだろうか、神社の中ではかなり自由度を感じさせる境内が特徴的。個性的でいて昔ながらの神社とは別種の雰囲気が面白い。

境内案内

巨大な鳥居・神狐像・手水舎

最寄駅は新丸子駅で徒歩2分、武蔵小杉駅から徒歩5分ほどの距離。
新丸子駅と武蔵小杉駅の間に鎮座する当社の境内はそう広くはないものの、かなり大きな建造物が多いのが特徴で、とても個性的な境内となっている。

入口にはかなりの大きさを誇る朱色の大鳥居。
昭和二十九年(1954)に建立された鉄製で、高さは約14m、笠の長さは約16mにもなる。

その両脇には大きな神狐像の姿。
高さ4.5mにもある巨大な神狐像。
日本最大級との掲示。

他にも社頭に神狐像。
至るところに神使の神狐像が置かれているのが特徴的。

稲荷信仰の神使は狐。そのため、お稲荷様と神狐は大変密接な関係にある。
当社の参拝可能時間
拝観時間:6時-17時
時間外は閉門しているので参拝は不可。

鳥居を潜ると右手に大きな手水舎。
水の量が多く清潔感を感じるもの。
手水石は筑波山から産出されたもので、こちらもかなり大きくインパクトがある。

大変個性的な九棟稲荷造りの重層社殿

境内には稲荷信仰らしさのある多くの朱色鳥居。
奥にあるのが存在感のある社殿。

社殿は重層社殿になっていてかなりの存在感。
当社では日本最大級の九棟稲荷造りと称している。
3階建てになっていると思われる造りは、既存の神社では中々考えられない様式で迫力満点。
鉄筋コンクリート造による造営。
境内の掲示には江戸造り様式と記載。
当社曰く江戸造りは「神社の土台に富士山の溶岩を積むことを云う」との事で、当社も本殿の周囲を富士山の溶岩で固めた上で、造営されている。

こうした個性的な神社建築も、戦後の創建で神社本庁に所属していない当社ならではだろう。

御祭神は以下の通り。
常磐稲荷大神を主祭神とし、五成大明神(宇加之御魂大神・大己貴命・猿田彦命・大宮能女神・保食之神)を祀る。

常磐稲荷大神(ときわいなりおおかみ)
長禄元年(1457)、太田道灌は江戸城築城の際に「伏見稲荷大社」の分霊を勧請。
常磐稲荷大神と称して、江戸城の守護神として祭礼。
その神社は、幾度と遷座し「常磐稲荷神社」(東京都中央区日本橋本町)としてとても小さな神社が残る。

奉納鳥居・琵琶湖を模した招福池と弁財天

社殿右手には神池に連なる多くの朱色の鳥居。
いずれも崇敬者によって奉納された奉納鳥居。
稲荷信仰には朱色の鳥居が映える。

その先の神池は招福池と呼ばれている。
滋賀県の琵琶湖を模して造られたとの事。
招福池に祀られているのは琵琶湖に浮かぶ竹生島の弁財天。

竹生島神社(都久夫須麻神社)・宝厳寺
滋賀県長浜市の琵琶湖に浮かぶ竹生島(ちくぶじま)に鎮座する神社・寺院。
広島「厳島神社」・神奈川「江島神社」と共に、日本三大弁天の1つに数えられる。

招福池の一画にときわ磐座(いわくら)。
開運招福祈願の磐座とされる。

煩悩の数だけ安置された108体もの神狐像

招福池周辺に大変多くの神狐像が置かれている。
境内に置かれた神狐像の数は108体。
昭和三十年(1955)に安置された108体の神狐像。
初代宮司が煩悩の数だけ安置したと云う。
狐像に止まるトンボ。

煩悩と云う考えは仏教の教義の1つ。人の苦しみとなる心の働きを云う。

境内にはこの他に授与所の前にも多くの神狐像を見かける事ができる。
狐穴の中にいたり、個性的な色合いの着色がされていて多様。
更に社殿の横側にも姿が見える。
108体を数えてみるのも面白いのかもしれない。
ひっそり隠れている蛙も。

筆者は幼少の頃より両親に連れられて参詣しているが、昔からこの108体の神狐像は置かれていたものの、かつては着色がされていなかった記憶がある。現在は色付けされておりそれがより一層派手さを増している。

社殿右手に祀られた稲荷神社の摂社

招福池の右手には稲荷神社の摂社。
歌舞音曲を司ると云う祇園玉光稲荷(別名:末広稲荷)。
お稲荷様の神使である白狐を祀る白狐社。
身代わり開運稲荷(別名:武邦稲荷社)。

富士山や白山を模したカラフル境内社

大鳥居を潜って左手にも末社が祀られている。
浅間神社と白山社が鎮座していて、それぞれの山を模した個性的な造り。
手前が富士浅間神社で、富士山から運ばれた溶岩を使用し、それにペンキで塗装をしたもの。
富士塚というよりも、ジオラマ的な模型に近く、この辺も個性が強い。

その隣には白山社。
こちらも白山を模した造りになっていて個性的。

向かいには三神知恵稲荷。
別名、文殊稲荷とされ文殊の知恵を授けてくれるとの事。

外国人観光客から隠れた人気スポット

このように個性的な境内は、外国人観光客から隠れた人気スポットとして知られている。
案内板にも英語表記がされ、参拝者が多い事が窺える。
幾度か参拝しているが当社を目当てで訪れる方もチラホラ。

派手なインパクトのある境内が人気。
外国人が東京から近い範囲でちょっとした伏見稲荷を体験できるスポット。
撮影スポットとしても人気を博している。

まずは参拝をした上で境内を楽しみたい。

金の稲穂と銀の宝珠が押された御朱印・御朱印帳

御朱印は社殿左手に併設されている授与所にて。
丁寧に対応して下さる。

御朱印は中央の印の部分はずっと同じだが、その周囲の印(スタンプ)に少し変化がある。
左から2015年、2017年、2019年と2年刻みに頂いた御朱印で、最新のものは金色で稲穂・銀色で宝珠のスタンプが押されるようになった。
2023年に頂いた御朱印。

稲荷信仰の神使である神狐は、口に稲穂・宝珠・鍵・巻物を咥えている事が多い。宝珠は一般的に財宝を意味し、稲穂は五穀豊穣を意味する。

オリジナルの御朱印帳も用意。(2019年参拝時の情報)
ピンクを基調とした金箔が貼られた稲荷鳥居と、散りばめられた梅花がデザインされたもの。

他にも豊富な授与品が用意されているのでお受けするのもよいだろう。
交通安全ステッカーは初穂料100円。

所感

武蔵小杉駅と新丸子駅の間に鎮座する当社。
戦後の創建と歴史は浅いこともあり強い個性を感じる境内となっている。
「伏見稲荷大社」同様に、神社本庁には属しておらず単立神社としてやっている事が自由度の高い境内に繋がっているように思う。
境内はそう広くないのだが、巨大な大鳥居や神狐像、108体もいるという神狐像、そして既存の神社ではあまり見る事のできない重層造りの社殿や境内社など見どころはかなり多い。
いわゆる「派手好み」な境内であり、この個性的な境内は好みが別れる可能性があるものの造りとしては面白く興味深い。
混迷する戦後の地域の復興を祈願して創建という事なので、こうした復興を象徴し祈願するために敢えて「大きく派手な境内」にしたようにも思う。
楽しみながら参拝できる良い神社だと思う。

御朱印画像一覧・御朱印情報

御朱印

初穂料:500円
授与所にて。

※以前は初穂料300円だったが、2023年参拝時は初穂料を500円へ変更。

御朱印帳

オリジナル御朱印帳
初穂料:1,800円
授与所にて。

オリジナルの御朱印帳を用意。
ピンクを基調とした金箔が貼られた稲荷鳥居と、散りばめられた梅花がデザインされたもの。
※2019年参拝時に頒布していたもの。

※筆者はお受けしていないため情報のみ掲載。

授与品・頒布品

交通安全ステッカー
初穂料:100円
授与所にて。

稲穂と狐様の2種類。

参拝情報

参拝日:2023/05/24(御朱印拝受)
参拝日:2019/03/27(御朱印拝受/ブログ内の画像撮影)
参拝日:2017/07/06(御朱印拝受)
参拝日:2015/11/10(御朱印拝受)

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