勝利八幡神社 / 東京都世田谷区

勝利八幡神社(しょうりはちまんじんじゃ)

御祭神:誉田別命(応神天皇)
相殿神:宇迦之御魂神(稲荷大神)
社格等:村社
例大祭:10月体育の日
所在地:東京都世田谷区桜上水3-21-6
最寄駅:桜上水駅
公式サイト:─

御由緒

 平安時代・万寿三年(1026)京都府八幡市に鎮座する石清水八幡宮より勧請し、創建された神社。上北沢四丁目に鎮座する山谷稲荷神社の御神体を、明治四十年九月に合祀し奉斎しています。天明八年(1788)に再建された社殿は、平成四年十二月に世田谷区指定有形文化財に指定されました。現在の社殿は、昭和四十三年十月に再建落成。
八幡さまは、母の神功皇后さまと共に、大陸交渉に伴って、大陸文化を我が国に輸入し古代にあって日本の文化興隆をはかられた御神徳が仰がれている。また母が子供を抱きかかへ、慈愛を以てこれをはぐくみ育てる大愛を本願とされている「母子神」としての信仰も盛んであった。平安時代に源氏の氏神とされ、さらに室町、江戸時代を通じて武家の守護神(武神)とされた。こうして八幡さまは一般民衆の根強い信仰をあつめ九州大分の宇佐八幡宮を総本宮として全国に約二万五千社が祭られている。

(※境内の掲示より)

参拝情報

参拝日:2016/03/23

御朱印

初穂料:300円
社務所にて。

※社名部分は墨書きではなく印判によるもの。

勝利八幡神社
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歴史考察

勝利の社号の八幡さま

世田谷区桜上水に鎮座する神社。
旧社格は村社で、桜上水・上北沢の鎮守。
「勝利」の社号からスポーツ関係者の参拝も多いという。

社伝と口伝の2つの御由緒

社伝によると、万寿三年(1026)、京都の「石清水八幡宮」を勧請し創建とある。
上北沢の鎮守として崇敬された。
当社ではこちらを正式な御由緒としている。

都内の八幡信仰系の神社は、鎌倉時代以降なら鎌倉の「鶴岡八幡宮」より勧請。
それ以前の御由緒なら大分の「宇佐神宮」より勧請。
この2通りが多いと思うのだが、「石清水八幡宮」からの勧請というのは比較的珍しいように思う。
これとは別に、口伝として別の御由緒も残っている。

天から「お伊勢さま」のお札が降ってきたといい、それを御神体としてお祀りしていたのが創建。
すなわち創建当初は伊勢信仰の神社だったという事になる。
その後、甲斐武田氏と小田原北条氏の合戦の後、小田原の武将鈴木氏一族が上北沢に移り住み、そこから八幡社をお祀りするようになった、という言い伝え。
真偽は定かではないとされているが、鈴木氏一族は当社からすぐそこの緑丘中学校の位置に居住してたとされているので、こちらの御由緒も信ぴょう性はありそうだ。

かつては築山の上に鎮座

文化・文政期(1804年-1829年)に編纂された『新編武蔵風土記稿』には当社についてこう書かれている。

(上北沢村)
八幡社
村の中央にあり。八幡の勧請は万寿三年といい伝うるめかりにて、委しきことの、しれず此宮居の立し所ばすこしく高き山なり。それも自然の山にあらず。人作をもって築きくてしなり。本社は二間四面、土をもり上て上二社を作り、前二石段十五級を設く。その前数歩をはなれて鳥居を建。

この時代の当社は「八幡社」と記載され、上北沢村の鎮守とある。
こちらに書いているように、かつては人の手によって築山された上に鎮座していたとされる。
現在は平地に鎮座しているのだが、15段の石段の上に鎮座されていたという。
資料によると享保十四年(1729)およそ330人余りの人夫によって土が盛られ、20日余りで造られたとある。
なお、昭和四十三年(1968)現在の社殿を作る際にこの築山は崩されている。
旧社殿時の写真を見ると、今の境内とはかなり違った様子になっているのが面白い。

山谷稲荷神社の合祀

明治になり神仏分離。
当社は村社に列している。

明治四十年(1907)には、上北沢四丁目に鎮座していた「山谷稲荷神社」を合祀。
そのため現在は主祭神に誉田別命、相殿神に宇迦之御魂命をお祀りしている。

現在、社号碑には当社の「勝利八幡神社」と、合祀した「山谷稲荷神社」の二社が並んでおり、それはそれぞれの氏子に配慮しての事であろう。

上北沢の鎮守・桜上水の由来

現在、当社は桜上水の住所に鎮座している。
さらにかつては上北沢村の鎮守でもあったため、桜上水と上北沢の鎮守となっている。

かつてはこの地域一体は上北沢村であった。
現在の上北沢と桜上水を合わせた地域を上北沢村と呼んでいた。
桜上水という地名は昭和になって誕生した新しい地名である。

桜上水の由来は、京王線の「桜上水駅」から来ている。
駅名が由来となっており、桜上水駅が誕生したのは昭和十二年(1937)のこと。
この駅名は、駅の北側(結構離れている)に流れる玉川上水の堤に桜並木があり綺麗だった事から。
とは言え、肝心の玉川上水は杉並区下高井戸付近を流れているため、桜上水には玉川上水が流れる区間はない。
響きの良い地名であるが、歴史を見るとなかなか面白い由来をもっている。

駅名から現在の地名になったのは戦後の昭和四十一年(1966)になってのこと。
上北沢が分割され、東側が桜上水とされた。

また、上北沢は古くから上北沢村として発展していた歴史がある。
江戸時代には寛永十五年(1638)に幕府の天領となり、正徳三年(1713年)には「増上寺」の寺領となった。
幕末まで「増上寺」の寺領の地区であり、そちらの鎮守として崇敬されたのが当社という事になる。

古くから、幕府の天領、さらに「増上寺」の寺領とされた上北沢村の鎮守。
戦後になり分割され桜上水という地名が誕生し、当社の住所も桜上水に。
こうした事情で上北沢・桜上水の鎮守となっている。

勝利の社号由来

「勝利八幡神社」と呼ばれるようになったのは、日露戦争以後の事だという。
日露戦争へ出征した氏子が無事に帰った事からそう呼ばれるようになったとされている。

ここからは推測になるのだが、「勝利八幡神社」の社号について。
多くの八幡神社は区別のために呼称として、地名を先に付ける事が多い。
当社は桜上水に鎮座しているので「桜上水八幡神社」と呼ばれてもおかしくはない。

しかしながら「勝利八幡神社」と呼ばれているのは、日露戦争で氏子が無事に帰ってきたという逸話以外に、上述したように上北沢と桜上水の鎮守であるため、どちらかの地名のみ付けるのは憚られる、といった事情もあるのではない
だろうか。
そのため日露戦争での逸話から縁起も良い「勝利」を結びつけた、と推測している。

実際に「勝利八幡神社」の社号碑は新しく、新社殿が造営後に建てられている事からも、上北沢と桜上水が分割後に正式に呼ぶようになったと推察できる。

旧本殿は世田谷区最古の神社建築

境内は戦後になって大きく整備されている。昭和四十三年(1968)に現在の社殿が造営。

それ以前までは築山された上に社殿があったようだが、現在の社殿を造営する際に築山は崩され平地に鎮座する形となった。
本殿をよく見ると、柵内の本殿横にいくつかの社や仏の姿を見る事ができる。

いずれもかなり古いと思われるもの。
こうして本殿横に置かれて管理されているのが素晴らしい。
左右どちらにもこうした姿を見る事ができ、上北沢村の信仰を感じさせてくれる。

境内右手には旧本殿が保管された覆殿がある。

中には天明八年(1788)に再建されたと記されている旧本殿が保管。

唐破風付向拝で本格的な社殿建築。
世田谷区内に残る神社建築では一番古いもので、世田谷区有形文化財に指定されている。

境内社は「天祖神社」と「豊受稲荷神社」の二社。

「天祖神社」は慶長十九年(1614)に勧請されたという。
「豊受稲荷神社」の社殿は安政七年(1860)造営のものが現存。

御朱印は社務所にて。
授与所にあるインターホンを押すと社務所兼ご自宅から宮司様が出てきて下さった。
丁寧に対応して下さった。

所感

地域の鎮守といった雰囲気の強い当社。
境内左手には児童公園があり近所の子どもたちの遊び声が聞こえてくる。
歴史のある当社だが、境内は戦後に大きく整備されているため、比較的新しい印象も受ける。
それでも所々で歴史を感じさせてくれ、整備された境内は、地域の鎮守といった雰囲気たっぷり。
桜上水、そして上北沢の鎮守として、崇敬されているのが伝わる。
「勝利」という社号も縁起がよく良いのではないだろうか。
社号からスポーツ関係者の参拝が多いと紹介される事も多く、例大祭が体育の日なのも面白い。
他に受験・就活・日々の勝負事など、こうした局面とも相性が良いと思う。
地域の鎮守であるが、社号にあやかりたい方は参拝してみるのをオススメしたい。

神社画像

[ 鳥居・社号碑 ]


[ 参道・拝殿 ]

[ 手水舎 ]

[ 拝殿 ]




[ 本殿 ]

[ 本殿横・碑・仏 ]

[ 狛犬 ]


[ 旧本殿 ]



[ 境内社鳥居 ]

[ 豊受稲荷神社 ]

[ 天祖神社 ]

[ 古札納所 ]

[ 授与所 ]

[ 社務所兼宮司様宅 ]

[ 手押しポンプ ]

[ 倉庫 ]

[ 旧神輿庫 ]

[ 案内板 ]

Google Maps

    脚注
  • 当ブログに掲載している情報は筆者が参拝時の情報です。最新のものではない可能性がありますのでご理解下さい。
  • 当ブログ内の古い資料画像は「国立国会図書館デジタルコレクション」の「インターネット公開(保護期間満了)」から使用しています。
  • その他、筆者所有以外に使用した資料画像がある場合は別途引用元を明示しています。
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