夫婦木神社 / 東京都新宿区

新宿区

神社情報

夫婦木神社(めおとぎじんじゃ)

御祭神:伊邪那岐大神・伊邪那美大神
社格等:─
例大祭:5月16日より1週間
所在地:東京都新宿区西大久保2-27-18
最寄駅:新大久保駅・大久保駅
公式サイト:http://meotogi.tokyo/

御由緒

当神社は従来から神前結婚式をしております。
そこで、淡路島に鎮座まします伊邪那岐大神、伊邪那美大神の御分霊を奉願し、
霊気満ち足りたこの地を御座所と占い定めて奉斎いたしました。
爾来縁結び、子授け、安産、和合、子孫繁栄、延命長寿等ご利益の高い神社と称えられております。
とくに子授けを希望する方々からのご参拝が多いことで知られています。公式サイトより)

参拝情報

参拝日:2020/02/21

御朱印

初穂料:300円
社務所にて。

歴史考察

縁結び・子授けの御神徳で知られる夫婦木神社

東京都新宿区大久保に鎮座する神社。
神社本庁に属さない単立神社。
御祭神を結婚式場やホテルなどの神殿に奉斎し数多くの結婚式に携わっているため、縁結び・子授け・結婚・夫婦和合などの御神徳で信仰を集める。
メディアへの露出も高く特に子授けの神社として有名人などの参拝も多い。
新大久保駅から近い住宅街に鎮座、神殿は住宅の中にあり、かなり変わった形態の神社としても知られる。

江戸城を築城した太田道灌による創建

社伝によると、創建年代は不詳。

当社の御由緒については不詳な事が多く、以下は以前境内に掲示してあった御由緒に記されていた内容を記す。(現在は撤去されている)

太田道灌が江戸城築城の際に祀ったと伝わる。

太田道灌(おおたどうかん)
武蔵守護代・扇谷上杉家の下で活躍した武将。
江戸城を築城した事で広く知られ、江戸城の城主であり、江戸周辺の領主でもあった。
武将としても学者としても一流と評されるが、道灌の絶大なる力を恐れた扇谷上杉家や山内家によって暗殺されてしまったため、悲劇の武将としても知られる。
江戸城の築城が康正3年(1457)とされる事から、それ以降の創建とみられる。

太田道灌は江戸城築城にあたり数多くの神社を創建や遷座をさせていて、その一環で創建されたと推測される。

江戸時代には紀州藩の邸内社とされる

江戸時代に入ると、紀州藩の邸内社として祀られたと伝わる。

紀州藩(きしゅうはん)
現在の和歌山県と三重県南部を治めた藩。
藩庁は和歌山城で、藩主は徳川御三家の1つである紀州徳川家。

各藩は江戸周辺に江戸屋敷(江戸藩邸)を置き、本邸である上屋敷に対して、当該屋敷の用途と江戸城からの距離により中屋敷、下屋敷などが設けられた。
紀州藩の藩邸は以下の通り。

紀州藩の江戸屋敷
・竹橋邸(千代田区千代田)
江戸初期から明暦の大火(1657年)で焼失するまでの上屋敷。
・麹町邸(千代田区紀尾井町)
明暦の大火で竹橋邸が焼失後に拝領した上屋敷。江戸後期に焼失。
・赤坂邸(港区元赤坂)
紀州藩江戸屋敷の中で最大規模。当初は中屋敷だったが江戸後期には実質上の上屋敷。
・千駄ヶ谷邸(渋谷区千駄ヶ谷)
幕府からの拝領ではなく買収によって入手した抱屋敷。下屋敷。
・芝邸(港区海岸)
現在の旧芝離宮恩賜庭園にあたる。下屋敷。
・松涛邸(渋谷区松涛)
現在の鍋島松涛公園にあたる。下屋敷。
・木挽町邸(中央区銀座)
紀州からの物産を納入保管するための蔵屋敷。
・築地邸(中央区築地)
江戸後期に木挽町邸が焼失した後に拝領した蔵屋敷。
他にも時代に応じて江戸屋敷が幾つか存在していた。

当社がどの屋敷に邸内社として祀られたのかは不詳であるが、御由緒の通りであるのならば、いずれかの屋敷内に祀られていたものと思われる。

戦後になり伊弉諾神宮より御分霊を勧請

明治になり神仏分離。
明治以降については不詳。

紀州藩の邸内社として祀られていたのであれば、明治維新後はどこかの神社や個人宅に遷されたものと思われる。

昭和四十年(1965)、淡路島の「伊弉諾神宮」より御分霊を勧請。
昭和四十八年(1973)、宗教法人の認証を受けた。

伊弉諾神宮(いざなぎじんぐう)
兵庫県淡路市多賀に鎮座する神社。
淡路国一之宮であり式内社(名神大社)。
国生み神話に登場する伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)を祀り、日本最古の神社とされる。
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この変遷が分かりにくいが、紀州藩の邸内社であったお宮を当地へ遷し、改めて「伊弉諾神宮」より御祭神を勧請したと捉えるのがよいだろう。

もともと当地は「皆中稲荷神社」の神職が住む住宅だったと云い、その後空き家に当社が置かれたのだと云う。

伊邪那岐命・伊邪那美命を祀る神社として、縁結び・子授け・結婚・夫婦和合などの御神徳で信仰を集めた。

伊邪那岐命(いざなぎのみこと)・伊邪那美命(いざなみのみこと)
日本神話に登場する夫婦神。
天照皇大神(あまてらすおおみかみ)や素戔嗚尊(すさのおのみこと)など、多くの神の生みの親で、国産み・神産みにおいて日本国土を形づくる多数の子(神)をもうけた。
また当社は結婚式場へ御祭神を奉斎し神職や巫女の派遣などを行っており、数多くの結婚式に携わっている。

その後も境内整備が進み現在に至る。

境内案内

コリアンタウン新大久保駅近くの住宅街に鎮座

最寄駅は新大久保駅で、コリアンタウンと化した一画を抜け、かなり細い路地の住宅街に鎮座。
朱色の鳥居が置かれているため神社と分かるが、一見するとタバコ屋とも思えるような外観で驚く。
新大久保の細い細い路地裏にある小さな小さな神社。
「夫婦木神社」の入口と記した看板や掲示板が置かれ、周囲は完全に住宅街となっている。

初めて参拝する方はこの路地に本当に神社があるのか心配になるような場所。大久保通りから車の侵入も困難なくらいな一方通行を進んだ先に鎮座している。

鳥居を潜ると右手に境内社があり、先に階段。
朱色の階段の先にバケツと柄杓。
これが手水の扱いとなっていて身を清める事ができる。(水は毎日綺麗なものに取り替えているとのこと)

住宅の2F(和室)に鎮座する神殿

バケツに入った水で身を清めた後、さらに階段を上ると神殿。
見上げた先にある賽銭箱と、その奥の一室。
和室を改装して整備したのが伝わる神殿だが、綺麗に整備。
賽銭箱の手前から有り難く参拝。
賽銭箱には「ご参拝帳」が置かれているので、希望の方は記帳するのがよいだろう。

狭い境内に並べられた境内社・出世稲荷など

鳥居を潜って右手には、狭い境内ながら境内社の祠が鎮座。
手前にあるのが御嶽神社。
その奥が出世稲荷神社で、幟旗も多く崇敬者が多い事が窺える。
さらに奥に大久保弁財天。

クロガネモチの木・縁結びや子授けの御神徳

小さな小さな神社であるが、中でも目立つのが鳥居横にある一本の御神木。
狭い敷地内に一本の木だけ聳えるのは、なかなかに面白い光景。
クロガネモチと呼ばれる木で「クロガネモチ」が「金持ち」に通じるから縁起木としても知られる。

境内社の向かいには絵馬掛。
小さい神社ながら数多くの絵馬が掛けられており、その多くが縁結びや子授けを願う絵馬となっている。

縁結び・子授け・夫婦和合などの御神徳
当社は日本最古の神社とされる「伊弉諾神宮」より勧請した、伊邪那岐大神(いざなぎのおおかみ)・伊邪那美大神(いざなみのおおかみ)の2柱を祀る。
この御祭神は日本神話に登場する夫婦神で、天照皇大神(あまてらすおおみかみ)や素戔嗚尊(すさのおのみこと)など、多くの神の生みの親で、国産み・神産みにおいて日本国土を形づくる多数の子(神)をもうけた。
こうした御祭神から縁結び・子授け・夫婦和合などの御神徳で信仰を集めている。
メディアへの露出も高く、最近では森三中の大島氏や北陽の虻川氏が子宝安産祈願をして子供を授かったとして取り上げられることもあった。

御朱印は社務所にて・巫女さんも募集中

御朱印は路地に面した社務所にて。
ご年配の宮司さんがとても丁寧に対応して下さった。

御朱印は大小の「夫婦木神社」の朱印を押印。
宮司さんがいらっしゃる場合は帳面に頂けるが、書き手がいない場合は書き置き対応になるとの事。

境内に掲示してあった巫女さんの募集。
当社は結婚式場へ巫女の派遣をしていて、そうした担い手を募集していると云う。

所感

新大久保の住宅街に鎮座する小さな小さな神社。
今やコリアンタウンとして発展して観光地ともなっている新大久保周辺。
余談になるが筆者が学生時代、まだコリアンタウンとして賑わう前の新大久保は「近寄ったらダメ」なエリアで、あまり立ち寄った覚えがないものの、現在の発展と観光地化には大変驚かされる。
ハングル文字などで賑わう大久保通りから1本細い細い路地に入った先にある一風変わった神社。
住宅の中にある神殿など個性的で、初めて参拝される方は驚くであろう。
しかしながら、縁結び・子授けなどの御神徳で人気を博しており、数多くの絵馬や奉納などもあり、今もなお多くの方に信仰されているのがよく伝わる。
こうした個性的な形態や信仰と云うのも面白いもので、どこかアットホームな感じがするよい神社だと思う。

神社画像

[ 鳥居 ]




[ クロガネモチ ]


[ 参道 ]


[ 手水 ]


[ 神殿 ]




[ 御嶽神社・出世稲荷神社・大久保弁財天 ]




[ 絵馬掛 ]

[ 社務所 ]

Google Maps

    脚注
  • 当ブログに掲載している情報は筆者が参拝時の情報です。最新のものではない可能性がありますのでご理解下さい。
  • 当ブログ内の古い資料画像は「国立国会図書館デジタルコレクション」の「インターネット公開(保護期間満了)」から使用しています。
  • その他、筆者所有以外に使用した資料画像がある場合は別途引用元を明示しています。
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