大泉天神北野神社 / 東京都練馬区

神社情報

大泉天神北野神社(おおいずみてんじんきたのじんじゃ)

御祭神:菅原道真公
社格等:村社
例大祭:10月第1日曜
所在地:東京都練馬区東大泉4-25-4
最寄駅:大泉学園駅
公式サイト:http://otenjin.sakura.ne.jp/

御由緒

 当社は、江戸時代土支田村の番神様と呼ばれ、村民の崇敬を集めていました。番神様とは法華宗(今の日蓮宗)の独特の三十番信仰─神仏混淆時代に、1か月三十日を神々が毎日交代で守護する─のことです。
 明治政府はそうした神仏習合の思想を禁止し、三十番神の名称を廃止させました。以来当社は菅原道真公を祭神とし、北野神社と呼ぶようになりました。この辺は明治初年上土支田村となり、同二十四年大泉村、昭和七年東大泉町と変わりましたが、その中で当社は明治五年村社に列格し、最近では「大泉天神」と呼ばれて親しまれています。
 道真公は学問の神様です。毎年初詣から春の受験期にかけて、合格祈願の人々が奉納する絵馬で絵馬掛けがいっぱいになります。(境内の掲示より)

参拝情報

参拝日:2018/05/11

御朱印

初穂料:300円
社務所にて。

歴史考察

旧土支田村鎮守・大泉天神と称される北野神社

東京都練馬区東大泉に鎮座する神社。
旧社格は村社で、旧土支田村(後に上土支田村)の鎮守。
古くは「番神様」と呼ばれ、神仏習合の三十番神を祀る神社として崇敬を集めた。
神仏分離後に、御祭神を菅原道真公に改め「北野神社」に改称し、現在は学問の神「大泉天神」の名で親しまれている。
正式名称は「北野神社」であるが、他との区別から「大泉天神北野神社」とさせて頂く。

古くは番神様と呼ばれ神仏習合の三十番神を祀る

創建年代は不詳。
江戸時代初期には創建されていたと見られている。

当時は、三十番神を祀り「三十番神社」と称していた。

三十番神(さんじゅうばんしん)とは、神仏習合の信仰。
1ヶ月30日を30柱の神々が日替わりで守護するとされた信仰で、番神信仰とも呼ばれる。
天台宗の開祖・最澄(伝教大師)が比叡山に祀ったのが始まりと伝わり、中世以降は特に日蓮宗(法華宗)で重視され、法華経守護の神・諸天善神(しょてんぜんしん)として祀られた。
庶民からは番神様と呼ばれ信仰を集めたが、明治維新後の神仏分離の影響で、明治政府によって祀る事を禁じられ、現在は神社としては殆ど残っている事はない。

三十番神を祀る当社は「土支田村の番神様」と呼ばれていたと云う。
江戸時代の当地は土支田村(どしだむら)と呼ばれ、当社は土支田村の鎮守として崇敬を集めた。

新編武蔵風土記稿に記された当社

文化・文政期(1804年-1829年)に編纂された『新編武蔵風土記稿』には当社についてこう書かれている。

(土支田村)
三十番神社
村の鎮守なり。妙延寺持

土支田村の「三十番神社」と書かれているのが当社。
村の鎮守であった事と、「妙延寺」が別当寺だった事が記されている。

「妙延寺」(現・東大泉3丁目)は、永禄十一年(1568)に創建した日蓮宗の寺院。
江戸時代には当社と共に土支田村の信仰の中心とされた。

日蓮宗は三十番神を重視したため、「三十番神社」であった当社も、日蓮宗の別当寺「妙延寺」の影響を強く受け、神仏習合の元で信仰を集めたと見られる。

明治の神仏分離で御祭神を変更・北野神社へ改称

明治になり神仏分離。
神仏習合の信仰である三十番神は祀る事を禁じられたため、三十番神の1柱である「北野大明神」(菅原道真公)の神像のみを残し、御祭神を菅原道真公へ改め「北野神社」へ改称。
残りの29柱の神像は、旧別当寺「妙延寺」に遷されたと云う。

三十番神の中でも、毎月7日を守護するのが現在の御祭神である「北野大明神」(菅原道真公)であった。

明治五年(1872)、村社に列する。
上土支田村の鎮守として崇敬を集めた。

土支田村は、明治二年(1869)上土支田村・下土支田村に分村。当地は上土支田村に属し、当社は上土支田村の村社となっている。

明治二十二年(1889)、市制町村制の施行によって、上石神井村・下石神井村・関村・上土支田村・谷原村・田中村・田中新田・竹下新田が合併し、石神井村が成立。
明治二十四年(1891)、上土支田が分離され、榑橋村に編入する形となり、大泉村へ改称。
当地は大泉村大字上土支田となる。

「大泉村」の地名は、村が成立するまで存在していなかった地名で、村が合併時に新たに名付けられた地名。
村内を流れる小井戸川(現・白子川)と、その源流の泉(井頭池)に因み、当初は「小泉村(おいずみむら)」として提案されたものが、転じて「大泉」になったと云う。
現在の練馬区の大泉地区と呼ばれる一帯に当たる。

明治三十九年(1906)測図の古地図を見ると当時の様子が伝わる。

今昔マップ on the webより)

赤円で囲った箇所が当社の鎮座地で、今も昔も変わらない。
橙円で囲ったのは旧別当寺の「妙円寺」。
大泉村という地名と、かつての旧村名である上土支田の地名が残る。
また当社付近は宮本と呼ばれていた事が分かり、これは鎮守である当社がある事から付けられた地名であろう。

明治四十二年(1909)、同村の下屋敷・中村・井頭に鎮座していた「稲荷神社」3社を合祀。

これは当時の明治政府による合祀政策の影響を受けたものと見られる。

昭和七年(1932)、板橋区が成立を機に、大泉村上土支田は東大泉町(後の東大泉)に変更。

上土支田の地名は公式地名から消える事となるが、分村した下土支田側が現在も「土支田」という地名で残っている。

昭和十五年(1940)、拝殿を建造。
これが改修されつつ現存している。

昭和四十九年(1974)、本殿が造営。
その後も境内整備が進み現在に至る。

境内案内

大泉小学校の隣に鎮座・地域の人が行き交う参道

最寄駅は大泉学園駅で、駅から程近く北西へ向かうと北野神社前の交差点がある。
この交差点の一角に当社の玉垣と参道。
右隣には大泉小学校があるだけでなく、参道は地域の方の通り道となっている。

玉垣の中に入ると一之鳥居。
平成十二年(2000)に建立された鳥居で扁額には「北野神社」の文字。

参道の途中には境内社やムクロジの大木があるが、それらは後述。
参道途中に二之鳥居。

二之鳥居を潜って右手に手水舎。
綺麗に水が張られていて使用する事ができる。
その奥には絵馬掛けがあり、現在は「大泉天神」と信仰を集めているため、合格祈願の絵馬が多い。

昭和に奉納された廻廊・狛犬

参道は地域の方の通り道となっていて往来が多いが、社殿前には廻廊が設けられていて、その先が神域となっているため、廻廊内に入らなくても鳥居前で頭を下げて往来する方が多い。
廻廊は昭和六十年(1985)に竣工。
社号碑・三之鳥居が置かれる。
鳥居の前には一対の狛犬。
昭和四十九年(1974)に奉納された狛犬。
本殿も同年の造営なので、それに合わせて奉納されたものであろう。

廻廊内には戦前の拝殿と戦後の本殿

拝殿は昭和十五年(1940)造営のものが改修されつつ現存。
近年、屋根の葺き替えが行われて綺麗になった。
状態もよく綺麗に維持されている。
木鼻には目や口に色が入った狛獅子の姿。

本殿は昭和四十九年(1974)に造営されたもの。
幣殿・拝殿と違和感ない建築物。

社殿の右手に境内社。
御由緒等は不明であるが、三十番神にまつわるものであろうか。

参道途中の稲荷神社と練馬の名木「ムクロジ」

参道途中、左手に境内社の「瑞穂稲荷神社」。
朱色の鳥居と小さな神狐像。
地域のお稲荷様として信仰されている。

その隣にムクロジの大木。
練馬の名木に指定されていて、ムクロジの木としては巨木となっている。
ムクロジには直径2cm程の実がなり、その種が、羽つきの先の玉に使われる事でも知られる。

御朱印は社殿右手にある社務所にて。
お忙しい時は書き置きになるが、とても丁寧に対応して頂いた。

所感

土支田村の鎮守として崇敬を集めた当社。
江戸時代は「三十番神社」「番神様」と称され、神仏習合の中で信仰された。
明治になると三十番神を祀る事は禁じられたため、今では神社で三十番神を見る事は殆どなく、極稀に境内社でその姿を見る事ができるくらいであるが、日替わりで30柱の神々が国土や国民を守護してくれるという古くからの信仰である。
神仏分離によって、三十番神のうちの1柱である「北野大明神」(菅原道真公)のみを残し、「北野神社」へ改称し、天神信仰の神社となり、今では「大泉天神」とも呼ばれ、学問の神として親しまれている。
参道は地域の方の通り道になっていて、鳥居の前でお辞儀をしていく方も多く、今も地域から愛されている鎮守なのであろう。

神社画像

[ 玉垣 ]


[ 一之鳥居 ]

[ 二之鳥居 ]

[ 手水舎 ]

[ 絵馬掛 ]

[ 社号碑・三之鳥居・廻廊 ]


[ 三之鳥居 ]


[ 社号碑 ]

[ 狛犬 ]


[ 拝殿 ]







[ 本殿 ]


[ 手水鉢 ]

[ 境内社 ]

[ 社務所 ]

[ 神輿庫 ]


[ ムクロジ ]


[ 瑞穂稲荷神社 ]



[ 石碑 ]


[ 案内板 ]

Google Maps

    脚注
  • 当ブログに掲載している情報は筆者が参拝時の情報です。最新のものではない可能性がありますのでご理解下さい。
  • 当ブログ内の古い資料画像は「国立国会図書館デジタルコレクション」の「インターネット公開(保護期間満了)」から使用しています。
  • その他、筆者所有以外に使用した資料画像がある場合は別途引用元を明示しています。
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