大井鹿嶋神社 / 東京都品川区

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神社情報

大井鹿嶋神社(おおいかしまじんしゃ)

御祭神:武甕槌神
社格等:村社
例大祭:10月第3日曜日と前日
所在地:東京都品川区大井6-18-36
最寄駅:大森駅・大井町駅・立会川駅
公式サイト:http://kashimajinja.wix.com/omatsuri

御由緒

 当神社は平安朝の中の頃、人皇第六十二代冷泉天皇の御代、安和二年(969年)に南品川常行寺の僧、尊栄法印が常陸の国、鹿嶋神宮より御分霊を勧請し当地に祀ったのが始まりである。東京都神社庁より)

参拝情報

参拝日:2016/05/09

御朱印

初穂料:300円
社務所にて。

大井鹿嶋神社

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歴史考察

大井村の総鎮守

品川区大井にある神社。
旧社格は村社で、旧大井村の総鎮守。
正式名称は「鹿嶋神社」だが、他との区別のため「大井鹿嶋神社」とさせて頂く。
かつては祭礼として相撲が奉納されており、江戸郊外三大相撲として知られていた。
近くには境外摂社に「水神社」という水神を祀る神社がある。

常陸国一之宮「鹿島神宮」より勧請

社伝によると、安和二年(969)に「常行寺」の僧である尊栄法印が、常陸国一之宮「鹿島神宮」から御分霊を勧請した事により創建とある。
同時に別当寺として「来迎院」を建立し、慈覚大師(円仁)が作ったとされる薬師如来像を安置したとされる。

以後、大井村の鎮守として別当寺と共に地域の崇敬を集めた。
「鹿島社」「鹿島大明神社」と呼ばれていたようだ。

なお、創建時の「常行寺」は、現在の東大井6丁目付近にあったのだが、承応二年(1653)に大井から現在の南品川に移転している。
また貞享二年(1685)には、境外社の「水神社」が創建されている。

大井村の鎮守・大井囃子

文化・文政期(1804年-1829年)に編纂された『新編武蔵風土記稿』には当社についてこう書かれている。

(大井村)
鹿島社
除地1段4畝、村の南方にあり、当村の鎮守なり。相傳ふ安和2年の頃常陸国鹿島明神を勧請せりと。
本社9尺四方拝殿7間に6間半。前に石の鳥居あり、柱間9尺許、拝殿の西北に2間に2間半の神楽堂あり。豊歳を祈んがため毎年6月仲村民こぞりて神楽を奏す。9月15日にも神事ありといふ。
末社。
稲荷社、弁天社。共に本社の側にあり。

大井村の鎮守だった事と、社伝にあるように「鹿島神宮」からの勧請が記されている。
また神楽を奏すという一文と神楽堂があったとの記載から、祭礼時に様々な奉納が行われていたのだろう。
これは当社に伝わる「大井囃子」の元にもなったものかもしれない。

image上記の案内板の通り、当社には「大井囃子」という祭囃子があり、文政三年(1820)に大井村の豪農を発起人として始められた目黒囃子の系統だという。
戦後しばらくの間途絶えていたが、現在は地元の有志により復活し、品川区の指定無形文化財となっている。

神仏分離と戦後

明治になり神仏分離。
別当寺であった「来迎院」とは同一敷地内で分離という形となった。
現在もすぐ隣にあり大井村の鎮守として共に地域の信仰を集めた事が伺える。
当社は村社に列した。

明治八年(1875)には、同敷地内に簡易普通小学校が開校。
その後に同校は移転後しており、これが現在の品川区立大井第一小学校である。

昭和六年(1931)に現在の社殿を築造。
旧社殿は境内末社として移設して現存している。

戦後の昭和六十三年(1988)には、しながわ百景に認定された。
境外社の「水神社」も同様に認定されている。

鹿島立ち・交通旅行安全の神

現在では交通安全・旅行安全の神として崇敬を集めている。
これは古くからある「鹿島立ち」という言葉に由来している。

「鹿島立ち」は「旅行に出発・出帆すること。門出。」を意味する。

元々は常陸国一之宮「鹿島神宮」に由来する言葉であり、「鹿島神宮」「香取神宮」の二神が国土を平定した故事からとも、国を守るために防人として旅立つ東国武士が際に道中の無事を「鹿島神宮」に祈願した事からとも伝わる。

そのため「鹿島神宮」から勧請された当社も、この「鹿島立ち」の言葉より交通安全・旅行安全の神として崇敬を集めており、授与品にも交通安全系のものが多く用意されていた。

私事の余談になるのだが、筆者も「鹿島立ち」の言葉にあやかって全国の一宮巡りを「鹿島神宮」で拝受した専用の御朱印帳を使い開始している。

常陸国一之宮。鹿島神社の総本社。東国三社。奥宮。国の重要文化財の社殿。奈良の鹿の発祥。御朱印。御朱印帳。

精巧な鎌倉彫の旧社殿が現存

池上通りに面するように鎮座する当社。
池上通り沿いに比較的大きな鳥居が立っている。
imageこちらが表参道になっており西側を向いているのだが、かつては海の方角、東側を向いており、別当寺の「来迎院」と共用していた参道も存在した。
海の方角はおそらく「鹿島神宮」側を向いていたのだと思われる。

現在の社殿は昭和六年(1931)に建てられたものが戦火を逃れ現存。
image檜造りの社殿になっていて中々に立派な造り。

この社殿の右手には旧本殿が覆屋に保護される形で現存している。
imageこの覆屋の中にあるのが文久二年(1862)に造られたという旧本殿。
画像だと分かり難くて申し訳ないが、大変精巧な鎌倉彫が施されていて実に見事。
覆屋から中を見れるようになっているので、ぜひ精巧な造りをご覧頂きたい。

かつてはこの社殿の周囲に小さな境内社がいくつもあったそうだが、現在の社殿が造られ旧社殿がこの場所へ遷された際に、旧社殿内に合祀という形でまとめられている。
そのため旧社殿は、天祖神社、金刀比羅神社、稲荷神社、三峯神社、八幡神社が合祀された境内社となっている。

この旧社殿の手前にタブノキがあり、そちらは品川区指定天然記念物に指定されている。
image樹齢約200年の御神木だという。
また奥には立派なアカガシが存在している。

御朱印は社務所にて。
丁寧に対応して頂いた。

江戸郊外三大相撲に数えられた奉納相撲

当社では、古来より祭礼として相撲が奉納されていたと伝わる。
渋谷氷川神社」「世田谷八幡宮」と共に江戸郊外三大相撲として知られていた。

江戸郊外三大相撲に挙げられた三社のうち、当社を除く二社には現在も土俵があり奉納相撲が行われているのだが、当社の境内には残念ながら現在は土俵が存在していない。
imageそれでもこうして力石が置かれており、当時の一端を偲ぶことができる。

なお、力石と一緒に置かれている「不老門」の石碑は、謎であり詳しいことはよく分からないという。
名前から察するに健康長寿に関わるものか。
平安京大内裏の豊楽院の北門に「不老門」と名付けられた門があり、豊楽院は平安京の中でも大嘗会・競べ馬・相撲などが行われた所とされている。
奉納相撲もあったようなので、そちらとの関係も推測できそうだ。

溶岩洞窟の中にある境外社の水神社

さらに境外社として「水神社(すいじんじゃ)」がある。
鎮座地は「東京都品川区南大井5-14-9」と当社からも徒歩数分の距離であり、住宅地の一角の狭い境内なのだが、中々に雰囲気のある場所になっているのでパワースポットとしても一部では注目を集めている。

御祭神は水葉乃女命だが、創建時は水神とされる九頭龍権現を祀っていた。
湧水が豊富だった当地で、貞享二年(1685)に村民たちの手によって水神(九頭龍権現)を祀ったのが創建の始まりとされている。
そのため当時は「九頭竜権現社」と呼ばれていたようだ。
明治時代までは日照りになると村人が雨乞いをしていたと伝えられている。

明治になり神仏分離によって御祭神が変更。
現在の御祭神は水葉乃女命となっている。

当社には社殿はなく、溶岩を積み上げた洞窟の中にある。
imageこれが中々な雰囲気となっており、小さいながらも綺麗に管理されている。
image左手にはかつての御祭神であった九頭龍権現の祠の姿も。

この溶岩を積み上げた洞窟の前には、小さいながらも神池が存在。
imageこのようにフェンスで囲われていて中に入る事はできないのだが、鯉などの姿も。
image一応、お水取りもできるようになっており、湧水は「柳の清水」と呼ばれ、歯痛を止めるのにご利益があったとされている。
昭和期までは水が湧き出ていたようだが、現在はポンプで水を汲み上げている。

なお、同社にちなんでこの周辺は「大井水神町」という町名であった。
昭和三十八年(1963)に現在の大井に町名変更となっている。

「水神社」は「大井鹿嶋神社」よりもほど近い境外社であり、興味深い信仰と雰囲気のある神社になっているので、ぜひこちらまでも足を運んで参拝しておきたい。

所感

大井村の総鎮守であった当社。
かつては奉納相撲が行われ、江戸郊外三大相撲にも数えられたように、地域からの崇敬を大いに集めていたようで、その一端を感じる事ができる。
境内からは田舎の鎮守のようなどこか懐かしい香りがしており、池上通り沿いにありながらも、大変落ち着ける空間となっているのが特徴。
「鹿島立ち」の言葉があるように、現在は交通安全・旅行安全の神としても崇敬されている。
また境外社の「水神社」も独特な雰囲気があり、地域の方々により大切にされているのが伝わってくる。
どちらも合わせて参詣する事で、地域の歴史や信仰をより感じる事ができるのではないだろうか。

神社画像

[ 鳥居・社号碑 ]
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[ 参道 ]
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[ 手水舎 ]
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[ 拝殿 ]
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[ 拝殿・本殿 ]
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[ 本殿 ]
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[ 旧本殿(境内社) ]
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[ タブノキ ]
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[ アカガシ ]
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[ 不老門・力石 ]
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[ 社務所・参集殿 ]
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[ 灯籠・神輿庫 ]
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[神楽殿]
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[ 石碑 ]
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[ 案内板 ]
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[ 石碑 ]
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[ 境内風景 ]
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[ 案内板 ]
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– 境外社・水神社 –

[ 鳥居・社号碑 ]
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[ 神池 ]
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[ 手水舎 ]
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[ 溶岩洞窟の祠 ]
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[ 二宮金次郎像 ]
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Google Maps

    脚注
  • 当ブログに掲載している情報は筆者が参拝時の情報です。最新のものではない可能性がありますのでご理解下さい。
  • 当ブログ内の古い資料画像は「国立国会図書館デジタルコレクション」の「インターネット公開(保護期間満了)」から使用しています。
  • その他、筆者所有以外に使用した資料画像がある場合は別途引用元を明示しています。
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